2017年09月09日

Elmore James

 エルモア・ジェイムス(1918~1963)、本名Elmore Brooksは、ミシシッピ州リッチランドに生まれます。
 プロフィールに書きましたが、10代のころ、よく聞きました。
 エルモア・ジェイムスといえば、スライドギター。代表曲はDust My Broom。Broom調の曲を何曲か残しています。
https://www.youtube.com/watch?v=fPrnsDJFjEQ
 Shake Your Money Makerも有名ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=vn77rGEV6XM
 ほかにはHawaiian Boogie
https://www.youtube.com/watch?v=i6kRK2Xdkug



 私は小学校、中学と、音楽の時間が苦痛で仕方ありませんでした。
 まずキーが合わない。そしてだみ声だったからです。

 5軒先ぐらいに銭湯があり、その銭湯が廃業するまで、家には風呂はありませんでした。
 小さいころは祖父と一緒に風呂に行きました。
 祖父と同じ年の従兄弟は、初代・天中軒雲月の弟子だったこともあり、祖父も風呂に行くと、電気風呂に浸かりながら、浪花節を唸っていました。それを傍らで聞き、真似しているうちに、だみ声になってしまいました。

 小学校、中学と音楽の時間が苦痛で仕方なかった私ですが、中学の卒業式の直後に、普段つけたこともないラジオをつけたところ、流れてきたのが、bluesでした。
 世間一般にいう美声とは全然違う。学校の音楽の時間の音楽と違って肌に合う。それから夢中になりました。

 父は、お前は小さいとき、テレビを見て、鈴木ヤスシの「ジェニ・ジェニ」や植木等の「スーダラ節」がかかると一緒に歌っていたと口にします。
 「ジェニ・ジェニ」といえば、「ロング・トール・サリー」のヒットで有名なLittle Richardの「Jenny, Jenny」のカバーです。
 Little Richardは、ニュー・オリンズ系のリズム&ブルースのシンガーであり、Chuck Berry(1926~2017)らとともにロックンロールの創始者の一人に数えられます。
 またハナ肇とクレージー・キャッツもジャズバンドです(https://www.youtube.com/watch?v=PO_wjDvChew)。
 もともとアフロアメリカン系の音楽とは相性が良かったんでしょう。
 というより、「若葉祭」の「隠れ太鼓」の囃子方も長いこと務めていましたから、要は明治政府の始めたお雇い外国人による音楽教育っていうのが性に合わなかったんでしょうね。
  


Posted by 柴田晴廣 at 08:08Comments(0)雑談

2017年09月08日

Co-Respondent

 写真はフルブローグのコレスポンデントです。
 バルモラルのものはフルブローグ、ブラッチャーのものは、ダービー・フルブローグと区別されます。
 この靴はバルモラルですから、フルブローグです。
 バルモラルは、1850年ごろのイギリスで発祥、ブラッチャーは、1800年代の初頭のプロシアで考案されたといいます。
 それ以前は、モンクシューズのようなバックル留めやスリッポンタイプでした。
 スコットランドのギリーシューズが、羽根が出来る以前のレースアップタイプの靴になります。
 ギリーシューズの爪先部分もW型の切り替えがあり、ブローギングが施されています。これは元々、水捌けをよくするためのものです。
 フルブローグ自体が、このスコットランドのギリーシューズに起源を持つものです。


 
 この写真のフルブローグのコレスポンデントも、先のセミブローグと同様に、30年以上前に買ったものです。
 先のセミブローグと異なり、国産です。
 底は、マッケイで付けてあります。
 ピンチバックの上着とかが一番似合うんでしょうね。
 もう少し年になったら欲しいものです。
 欲しいといえば、クラッシックなローデンクロスのコートとかも、もうそろそろ似合う年になったかなぁとも。
 夏物でいえば、グルカショーツやグルカサンダルも、そこそこ年になった方が似合うように思います。
 そういえば、昔は既製品でも力釦を付けてあるものがあったけど、最近は既製品ではまずないようですね。
 力釦が付いている方が、長持ちするんですけどね。

 スリッポンについて加えて置けば、欧米人と東洋人では骨格が異なります。
 欧米人は踵が出ていますから、欧米人の足型のラストで作った靴は、欧米人でない私たちが履くと、脱げ易いか、踵の上の足首の部分が擦れるか、どちらかになります。やはり30年ぐらい前になりますが、オールデンのコードバンのローファーを買って、痛い思いをしたことを思い出します。
 逆に、踵が出っ張っていない東洋人の足型に合ったスリッポンを作るというのは、技術的には難しいのです。デザインは好みがあるものの、私たちが履くということのみなら、国内メーカーに軍配が上がります。

※ 今回のフルグローブも、前回のセミグローブの写真も、革の保湿等を考え、クリーム・ワックス等はすべてサドルソープで落としてあるため、艶はない状態です。  


Posted by 柴田晴廣 at 21:35Comments(0)雑談

2017年09月08日

semi brogue

 写真はバルモラルのセミブローグです。
 セミブローグとは、キャップトゥにメダリオン、ブローギング(パーフォレーション)を施したレースアップシューズをいいます。
 右側のセミブローグはチャーチ。ディプロマットの商品名で出ています。ただ現在のラスト173ではなく、ラスト73のオールドチャーチです。
 ちなみに、靴の左と右の形が異なるようになったのは、チャーチが左右の別がある靴を作ってからです。チャーチの創業は1873年です。靴に左右の別が出来るのは、鹿鳴館時代も終わって10年近く経った19世紀末のことです。
 長崎市には、幕末のブーツのオブジェがあるそうですが、時代考証出鱈目ですね。幕末には、下駄や草履と一緒で、靴にも左、右の違いはなかったのです。
 私が設計したシューキーパー(http://www.joy.hi-ho.ne.jp/atabis/newpage7.htm)に左右の別がないのも、土踏まず辺り以外に、靴の左右の形状に差はないからです。
 左側は、1879年、ノーサンプトンで創業したクロケット&ジョーンズのセミブローグ。
 いずれも30年以上前に買ったものです。



 30年程前は、タンニン鞣しより、クロム鞣しのボックスカーフが本格的な革靴の主流でした。
 チャップリンの映画『黄金狂時代』では、革靴を食べるシーンがありましたが、これはクロム鞣しの革で出来た靴ではなく、タンニン鞣しの革靴であることが前提になります。
 軍靴を始め、軍の革製品がタンニン鞣しを基本とするのは、最後は食料にと考えているからです。敗戦間際の、物資の調達が困難になった時期には、スルメを鞣して軍の革製品の代用にするといった研究もあったようです。保管中に鼠に齧られたといった話もあったそうですが。
 明治以来、軍とともに皮革及び靴産業も進展して来ました。ある意味「親方日の丸」ですから、多くの企業は世界的な競争力がなく、輸入の革靴などは、高率な関税が課せられています。
 関税が撤廃されれば、苦しい業界といえるでしょう。
 とはいうものの、印傳、姫路白革は、ほかには見られない鞣しの技術です。また、ヨーロッパに起源を持つものの、江戸時代に独自の発展を遂げた金唐革も、希少な皮革の装飾技法といえると思います。
 莨入の叺には、印傳、姫路白革、金唐革が使われていましたが、現在あまり注目されていないことは残念な限りです。  


Posted by 柴田晴廣 at 18:06Comments(0)雑談

2017年09月06日

Bespoke



 ビスポークで仕立てた半袖のシャツ四点です。
 上の二点と、下の左はインディアン・マドラス。
 マドラスは、南インドの東側コロマンデル海岸沿いのベンガル湾に面するタミル・ナードゥ州の州都・チェンナイのことで、1640年から1996年までマドラスと呼ばれていました。
 コロマンデル海岸辺りは、サントメとも呼ばれておりました。このサントメから輸出された綿織物が桟留縞です。
 縞という言葉は、嶋から渡って来たものを指していたわけで、ストライプをいうわけではありません。歌舞伎模様の三津五郎縞はチェック(格子柄)です。ストライプ柄をいうときは、「スジ」です。格子縞なんて言葉もあるぐらいですから、江戸時代にもマドラスチェックは高級品として入ってきていたんです。
 弁柄縞なんていうのも産地に由来するもので、現在のバングラディシュ、ベンガルから渡って来た綿織物をいいます。
 ストライプ柄の桟留は絹を制限されていた町人に人気が高く、三河木綿とか遠州木綿のストライプ柄は桟留を真似して作ったもので、模造品が出回ると本家桟留は唐桟と呼ばれるようになります。

 シャツの話に戻ります。オーダーメイドは和製英語でして、注文で作ったものはビスポークといいます。
 襟はオープンカラーで、第一ボタンはループ掛けにしてあります。
 ボタンはマドラスのものは水牛。グレナカートチェックのものは、生地は国産の麻百。ボタンはタグア・ナッツです。
 ボタンはザンパテグリアート(鳥足掛)で付けてあります。
 グレナカートチェックを含め、仕立てたばかりのころは、色が濃かったんですが、ブリーディング(色泣)して落ち着いた風合いになってきました。

 私は既製品が合わない体型ではありません。なぜビスポークか。
 好みのものが既製品にはないということと、やはり柄合わせでしょうか。
 国産のものは、アメリカ製などの雑な製品と比べ、柄合わせはきれいです。
 そのうち本筋の『牛窪考(増補版)』の概要の解説でも書くと思いますが、首抜きの着物などの伝統があるからでしょう。
 和彫りの「額」なんて手法も首抜きに通じるものがあります。
 長板染めもこの流れでしょう。私も表が筋の長板染めの浴衣を二枚もっていますが、筋がぜんぜんずれていなくて、そりゃあきれいですよ。
 既製品のシャツの話に戻せば、アメリカ製などの雑な製品より柄合わせはきれいだとはいえ、既製品ゆえの限界もあります。
 私は特に前後の身頃はもちろんのことですが、ヨークと後身頃、これが一体になるように柄合わせをしてもらいます。高価な国産のものでも、既製品はここまでのこだわりはありません。自分が何を求めているのかがはっきりわかっていれば、高価な既製品を買うより、よっぽど安価で納得行くものが仕立てられます。

 ついでにいえば、私はドレスシャツなども昔はビスポークで仕立てていました。生地はシーアイランドコットン(海島綿)。汚れなんていうのは、糸を紡いだところにつきやすいのですが、シーアイランドコットンは、毛足が長いから汚れが付きにくい。番手が高いから糊付けなんかすると、一発でダメになりますが、やっぱり違います。
 私が一番理解できないのがボタンダウンシャツっていうやつ。大体後身頃の中央にプリーツなんか取ったって、機能的に意味はないし、柄物、特にストライプは柄合わせが汚なくなります。機能はない、柄合わせも汚い。なんであんな見苦しい機能を無視したデザインのシャツを買う人がいるんでしょうか。きっと、首抜きとか長板染めとか知らないんでしょうね。
 もっともドレスシャツなんていうのは、下着ですから、大体上着を脱いでシャツにネクタイなんていうのは、本来あり得ない話なんですけどね。だから私はビスポークのドレスシャツには胸ポケットをつけません。
 ただ、機能を考えれば、肩甲骨の一番出っ張ったところにギャザーを寄せてもらう。これがやはり動きやすい。
 仮になんかの拍子に上着を脱いだときでも、後ろから見たときの柄がきれいに現れます。  


Posted by 柴田晴廣 at 06:05Comments(0)雑談

2017年09月03日

豆腐

 「はじめに」でも書きましたが、インターネットは軽い情報の発信に向いていることは重々承知しております。
 予想通りというか、本筋の『牛窪考(増補版)』及び『穂国幻史考』の概要解説よりも、雑談で書いた料理の話の方が、PV数は一気に上がりました。
 それだけ見て、っていう人もいるとは思いますが、ついでに他の話も読んで、という人の方が多いと信じております。
 そんなことを期待して、本筋じゃない雑談を。
 今晩は、豆腐です。
 冷たい豆腐です。
 賽の目に切った豆腐に、舞茸のあんかけをかけ、大葉を薬味に添えました。
 ポイントは、白醤油のアルコールを飛ばし、うまみを引き出す。
 白醤油を一気に一煮立ちさせて火をとめる。これがポイントです。
 目分量でつくりますから、分量はわかりません。
 メーカーによって塩分等は異なりますし、同じメーカーのものでも、現在では減塩などいろいろなバリエーションが出ています。それを小さじ何杯などと表記することの方がおかしいと私は思います。
 人それぞれ好みがありますから、好みに合わせて下さい。
 おかずの一品、酒の肴で、当然白醤油の分量も変わります。酒の肴にしても、呑むのが日本酒なのかビールなのか、これによっても当然変わります。
 自分の好みというより、食べる人の好みで。
 これがひとつの『典座教訓』です。
 食べる人の好みで付け加えておけば、皆様の周りにも、ピーマンが苦手なんていう人もいると思います。
 臭いが嫌いというだけなら、切り方で臭いは抑えられます。
 また、切り方で食感も変わります。
 調味料の量より、食感や香り。美味い不味いは、こっちの方が私は重要だと思います。冷たいあんかけ豆腐
  


Posted by 柴田晴廣 at 18:08Comments(0)雑談

2017年09月01日

料理

 先ほど、プロフィールにいろいろと事項を追加しました。
 祖父が料理人でしたから、料理は息をするようなものです。
 大学は東京に行きましたが、祖父がその前に基本を教えてくれました。
 正確にいえば、「いまからやるで、見とれ」だけで、手とり足とり教えてもらったわけではありませんが……。
 めんつゆなどは、祖父から盗んだ基本は、アルコールを飛ばすこと、醤油そのものに含まれているアミノ酸を引き出すことでした。
 テレビの料理番組なんかみてると、合わせ調味料とかいうあやしげな代物が出てきますが、あんなことやったらアルコールは飛ばんし、アミノ酸を引き出すこともできん。
 料理番組どおりやって旨いなんて思ってるのは、そもそも舌がおかしい。そんな風に私は思います。
 私は料理番組やレシピ集をみるより、まずは道元禅師の『典座教訓』を読むべきだと思っております。
 典座(てんぞ)とは禅宗における炊事係のこと。道元禅師は調理も重要な修行とみておりました。
 道元禅師の初期の著作で『正法眼蔵』などより先に書かれています。
 画像は今晩のものではありませんが、筍の代りにヤーコンを使った広東風の青椒肉絲です。
筍の代りにヤーコンを使ったチンジャオロース
  


Posted by 柴田晴廣 at 18:36Comments(0)雑談