2022年09月28日

老年の読書

 『老年の読書』(新潮選書)を、著者で、私と同じ大腸がんステージ4の新潮の元敏腕編集長の前田速夫さんから頂いた。
 まだ「はじめに」しか読んでいないが、その冒頭には、前田さんが、大腸がんステージ4と診断された経緯が記されている。
 私もがんに罹患し、確認された経緯を『穂国幻史考(増補新版)』の「あとがき」及び第三話の「あとがき」に記してある。
 以下に『老年の読書』の「はじめに」の冒頭を引用する。
 「最初の兆候は、二〇一三年一月六日の朝、カメラマンの友人と岐阜県の長滝白山神社の六日祭に参列したときのことだった。一面銀世界で、あたりがしんしんと冷えるなか、禪や泊まった宿から相棒と神社に向かう途中で、急に右下腹が傷みだし、路上にしゃがみこんでしまった。痛みはなかなかおさまらない。そこで、私ひとり宿に戻って布団を敷き、丸まっていると、一時間もしないで嘘のように痛みは消えた。それからは予定通りに祀の一部始終を見学し、祭が果ててからは宮司家に呼ばれて、関係者との祝宴にも加わった。」
 「その後はなにごともなく過ぎたが、夏ごろから時おり胃のあたりがしくしくするので、月に一度降圧剤を出してもらっているかかりつけの医院で、そのことを告げると、触診したとたんに医師の表情が変わり、翌日地元の総合病院で精密検査を受けて、私はステージ4のがんかんじゃとなった。」
 『老年の読書』の「はじめに」の前田さんががんと診断された権威と私ががんと診断された経緯とでは、幾つかの点で共通する。
 私が、大腸がんステージ3と診断されたのは、二〇一六年の四月の下旬であるが、その約八か月前の八月の盆過ぎ、昼飯を食べた後、腹痛でやぐるった。やぐるったのは一時間程、その後は、なにごともなかったように二〇一六年の四月の地元の若葉祭を迎えた。その折、何人かに顔色が悪いといわれ、祭禮の翌々日、渋々近所の星野医院(豊川市牛久保町常盤)に行くと、見るまでもなく悪い、触診でおそらく大腸がんだろうと。
 その足で、豊川市民病院に行き、四月の下旬に大腸がんステージ3と診断された。
 風痛でやぐるったとき、もう少し痛みが治まらなければ救急車をと思ったが、救急車を呼ぶ前に痛みは治まった。
 痛みは治まってもあの時、救急搬送されていればとの思いは今もある。
 少なくともあのとき、救急搬送しておれば、手術の後、転移してstage4となることはなかっただろう。
 がんは昔の結核のように、不治の病から完治できる病になりつつあるが、光免疫療法が多くのがんに適用になるまでは、早期に治療するに越したことはない。
 前田さんや私のように、激しい腹痛があったら、一時間程でおさまっても、医者に行くべきである。そうすれば、ステージ4になることもない。
 現時点で大腸がんのステージ4になっても、知識があれば助かるが、知識がなく、医者の言いなりの治療を受けておれば、助かる確率は限りなく低くなる。
 自身で特許公報等からがんのメカニズムを把握できる自信のない方は、腹痛があったらすぐに医者に行くことを薦める。



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Posted by 柴田晴廣 at 06:57│Comments(0)雑談
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