2021年01月08日

煮するめ

 子供のころ、高市(たかまち)の高根の花は、煮するめだった。
 身など小遣いで買うには、高値すぎ、せいぜいゲソを買えるに過ぎなかった。
 そんなことから、大人になって、高市へ行くと、煮するめを買い、それを肴に呑むのが楽しみになった。
 ところが、昨年の豊橋の鬼祭り以降、祭礼は中止ないし縮小、高市もたつことがなかった。
 今晩は、煮するめを肴に呑もうと、煮するめをこしゃえた。
 ポイントは、重曹を入れた水で一晩寝かせて戻すことだ。
 これで格段に軟らかくなる。特にゲソはこれを省くと、紋次郎イカのように堅いままだ。
 するめを買ってきて、自分で作れば、安価に作れる。
 傷ものなどの、二等品で作れば、さらに安価に作れる。
 色が高市で売られているものと異なるのは食紅を使っていないからだ。

煮するめ


 実は、この煮するめ、東三河と遠州の高市でしか見ることも買うこともできない。
 ただし遠州では、煮するめではなく、するめの味醂煮と屋台には表記されている。
 このするめの味醂煮の表記から、おそらく東三河が発祥だろう。
 というのは、せっかく重曹で軟らかくしたするめを味醂で煮込んだら、身が堅くなってしまうからだ。食べた感じでは、東三河と同じ触感で、味醂は使ってあるとは思えない。
 近年では、北関東の高市でも売られているようだが、ゲソは売られていないようだ。おそらく重曹を使うということを知らないのだろう。
 そのように考えれば、煮するめは東三河発祥のB級グルメといっていいものだ。
 豊川市の観光協会等は、ゲテモノ稲荷を豊川市のB級グルメとして推し進めるが、ゲテモノ稲荷より、煮するめの方が歴史もあれば、正当な東三河のB級グルメといえるだろう。私から言わせれば、断然煮するめがこの地方を代表するB級グルメだ。
 今回もカテゴリーを「牛窪考(増補版)とした。
 豊川流域の「笹踊」」の補遺二「豊川流域の特殊神事「笹踊」の考察」で、この煮するめとゲテモノ稲荷について言及してあるからだ。

 地元のグルメには、やはり地元の酒。蜂龍盃で一盃。

追記
 マイクロソフトが勝手にインターネットエクスプローラから、マイクロソフトエッジに変えてから、すこぶる使い勝手が悪い。
 ユーザーに断りもなく、勝手に更新するとはどれだけ上から目線だ。ユーザーフレンドリーなど頭にないのだろう。
 大体、購入後に更新をするというのも、商品の性格からいえば、どうかしている。
 これは商品ではない。半製品だ。
 DIYは完成品を売っているわけではないが、完成をユーザーに委ねているだけだ。
 ところが、パソコン関係のアプリは、完成品を売っているのではないのだ。
 さらに厚顔無恥なのは、「誤変換について協力してください」との旨の警告だ。
 こんなもんは自社でやるべきことだ。ユーザーにお願いするなら、ポイント等をつけて、次回にマイクロソフト社の製品を購入するときに値引きをすべきだ。
 これも私が何度も問題にしている独占による優先的地位の濫用の弊害だ。
 この弊害はgafaが代表格だが、IT企業全般に言えることだろう。
 完成品でもない製品の販売には規制をかけるべき、つまり販売を停止すべきだと私は思う。



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Posted by 柴田晴廣 at 16:49│Comments(0)牛窪考(増補版)
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